【野菜と自然の力で育てる!】四万十川流域で野菜と人の育成を手掛ける 桐島畑

Writer 神尾

お久しぶりです。
長々と更新ができておらず、すみません。

唐突ですが、最近、豆にはまってしまいました(笑)
スナックエンドウ、えんどう豆、そら豆、枝豆…

母が家庭菜園をしているんですが、今年は豆が豊作のようで、毎晩のように塩ゆでの豆が食卓に並びます。えんどう豆なんて、どんぶりいっぱいに(笑)
もともと豆は好きな方でしたが、ここにきて、大はまり(笑)
家族そろってどんぶりいっぱいのえんどう豆をスプーン大盛りを何度もおかわりしてしまいます。なぜこんなに美味しいのか、なぜこんなに食べても飽きないのか、とても不思議です。

さて、今回は、四万十川流域で有機農業で年間約80品目の野菜を栽培している「桐島畑(きりしまばたけ)」のお話です。
(この記事の中で出てくる「有機農業」というのは、桐島さん流の野菜の作り方を表現する言葉で、野菜の栽培期間中に農薬や化学肥料を使っていないということを表しています。)

一番おいしくなるタイミングまで待ってから収穫する桐島流の有機農業

桐島畑の代表 桐島正一さんは十和の中にいくつかの園地を持ち、それらの園地で年間約80品目の野菜を有機農業で栽培、収穫し、野菜セットなどで販売しています。
桐島畑の野菜セットは個人のお客様が直接注文するほどの人気ぶり!
その理由は、『野菜の味』。

野菜にはもちろん、それぞれに味がありますが、桐島畑で作る野菜は、甘味が、香りが違うんです。
なぜ違うのか。それは野菜の生きる力を最大限活かし、野菜が一番美味しくなるタイミングで収穫しているから!

桐島畑にお邪魔すると、大体何らかのおすそ分けを頂くのですが、ルッコラだったり、セロリだったり、その時々によって変わってくるのです。以前桐島畑へ伺った際に、セロリを分けていただきました。正直言いますと、セロリは食べれないんですが、いただいたものを食べないのは失礼だと思い、一口パクリ…そのセロリは、最初こそセロリ独特の香りがツーンと来ましたが、あとはレモンのような香りがして、とても美味しかったのです!
「この野菜は苦手だけど、桐島さんの野菜なら食べれる。」そういう声は私の周りにも多く聞こえてきます。

野菜を見ながら、一番おいしいタイミングで収穫しているので、野菜本来のおいしさを十分に味わえる野菜になっているのです!

色も鮮やかでおいしそう…!

そんな野菜を作る桐島さんですが、一番最初に触れた農業は慣行農業(慣行農業とは各地域において、農薬、肥料の投入量や散布回数などにおいて相当数の生産者が実施している一般的な農法によって行われる農業)でした。
慣行農業をしている中で「自分らしい野菜を作りたい」と思ったのがきっかけだそうです。慣行農業では決められたことしかやらない他の農家さんを見て疑問に思った桐島さんは、農薬を使う上での危険性があるとこを考えて、別の栽培方法を考えたそうです。その結果行きついたのが、有機農業でした。

「言われたとおりにやる農業じゃなくて、自分で考えて、工夫する農業で野菜を作っていきたかった。慣行農業に疑問を抱いたところから始まったので、有機をやりたくてこの世界に入ったわけではないんですね。たまたま入った世界が有機だったっていうだけです」と、にこにこと話す桐島さん。

桐島さんの思いが、苦労が集まったからこそ、今美味しい野菜を食べれているんだと感じました。

育て方にもこだわっています。

収穫のタイミングだけにこだわっているのではありません。もちろん、育て方にもこだわって作っています。

その育て方が有機農業。農薬や化学肥料を使わず、鶏糞で土づくりをしているのです。しかも、露地栽培。温室や温床などの特別な設備を使わず、露天の耕地で作物を栽培する農法です。平地では、温室や温床などの設備で有機農業を行っている地域もあるそうですが、「四万十でその栽培方法は合わない」と桐島さんは話しています。

その理由がこちら。

まず、中山間地域で 平地と同じ方法で野菜を作ろうとした場合、ハウスやボイラーなど、野菜を育てる設備に費用がかさむから。
確かに、夏は40℃近くまで上がり、冬は雪が降る四万十ですから、温度調節にはたくさんの費用が必要なのでしょう。さらに、高知県は台風もよく上陸するので、ハウスなどが台風の被害に遭うこともしばしば。野菜よりもハウスのメンテナンスにお金がかかるそうです。

次に、中山間地域の限られたスペースで慣行農業で野菜を作ってお金にしていくことが難しいから。
桐島さんの体験では、収入面だけで見ると慣行農業の方が高いんですが、慣行農業だと自立できないそうです。

収入は高いのに、自立できない。それはなぜか。
慣行農業は平地で作った野菜と山の中で作った野菜が同じ価格で取引されるからです。山の中の農業は維持管理にお金がかかります。ましてや、高知県は台風が頻繁に上陸します。台風被害を少なくするための準備や台風被害による損失等を考えると、「割に合わん」と桐島さんは話します。
農業で自立するなら、野菜の差別化を図り、野菜に付加価値をつけないといけないとのこと。そして、野菜の差別化を図るとするならば、栽培方法にこだわり、農家が消費者と直接やり取りができる方法で販売しなければならないそうです。

だからこそ、桐島さんは有機農業で野菜を育てながら、桐島畑の野菜セットを販売しているのです。

育て方は有機と慣行の掛け合わせ!

桐島さんは、慣行農業から有機農業に転身された方です。
有機農業の世界に入ったからといって、慣行農業で培った技術は必要なくなった。

なんてことはありません!むしろ、ほとんど活用できるものだったそうです。

例えば、配水の方法、畝の作り方、ネットの張り方、剪定方法etc…
「農薬・化学肥料を使う」こと以外は有機農業にも応用できたそうです。

桐島畑と桐島さんのこれから

桐島流の野菜作りは、少しづつ広がりを見せています。
同じ四万十町の窪川地域では桐島さんが農業技術を教えている有機農家の方々がいらっしゃったり、「株式会社しまんと流域野菜」という桐島さんをはじめとする数名の方が出資して会社を立ち上げ、自然に、四万十川に負担をかけない農業の技術指導を行っていたり。

桐島さんのビジョンについて伺うと、
「四万十川流域を有機農業で(活性化させる)っていうところかな。中山間で(農業を)やる以上、有機の方が打ち出しやすいし、自然に負担をかけないし。それがこれからの仕事というか、これからの俺の一生をかけたものになるかな。」

桐島さんは、有機農業独特の「これくらい」や「ああなったらこうする」という、感覚で判断する部分をできるだけ数値化して、本を出版しました。
その理由は
「自分らは先輩や先生のやり方を見て、自分でやってみて、考えて、自分なりのやり方を作ってきた。けど、次の世代は数字や数値、文章で学習する方法に変化してきているので、教え方も合わせないといけなくなった」から。

桐島さんは桐島流の農業を確立させることがゴールではなく、次の世代を、桐島流の農業を伝え、繋ぐことがゴールなのです。

「まだまだ稼がんといかんけどね」と苦笑いする桐島さんに「なぜですか?」と聞くと、
「若い人に作り方を伝えていくためには、だいぶお金がかかるんで、もっと売り込んでいかんといかんがですけどね。というのも、農機具ひとつとっても、技術の有り無しで機械の具合が全然違う。使い方を分かってないとすぐに壊れたり交換しないといけなかったりするんで、そっちにお金がかかるんです。」と。

あぁ~。と納得しました(笑)
刃物でもなんでも、道具の使い方に心得がないと、力任せに使ってしまうので、それによって機械の故障や交換が頻繁に行われるそうです。

試行錯誤しながら築いてきた桐島流の農業。四万十川流域にその農業が広まるように、次世代の人が継承できるようにとこれからも試行錯誤を続けながら、桐島流の農業は続いていくんだなぁと思いました。

おまけ

四万十川流域で本来の力で育った野菜のセットや定期便は、弊社通販サイトと桐島畑オンラインショップからご購入いただけます。
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