しまんと地栗の剪定講習会に行ってきました!

取り組み

先日、「栗の剪定師」であり、一般社団法人 栗のなりわい総合研究所代表理事の伊藤直哉さんが講師を務める栗の剪定講習が十和で開催され、そこへ参加してきました!
あいにくの雨でしたので剪定済みの木を見に行き、その後は室内で栗についての色々なお話をお伺いしました!私シバチカはここ十和の出身でしたが、「剪定した栗の木」を見るのは初めてでした。
こんなに切ってしまうのかと驚き!そりゃみんな驚くわけだ!

こちらが剪定をした栗の木。
思ってたよりも枝がなくて本当にびっくりしました!

しかしこの写真の栗の木は伊藤さんいわく「今回の剪定は実をつける為のものではない。」
え!?これってどういうことでしょう?
「ここの園地の栗の木は1年剪定していません。なので、今回している剪定は”枝を戻す”為のもの。」とのこと。それでもかなりの枝を切っているので、思ったよりもさびしい風体の栗の木に、目をむくばかりでした。

「今回の剪定から2年後に実がなるように、枝を育てていくことが大事。そうした枝作りがきちんと出来ていれば、毎年実がなってくるんですよ。」

農家さんの目線で想像すると、”栗の実を生らせる”ことを重要視してしまうと思います。
しかし伊藤さんは、 ”栗本来の成長力を引き出す為の枝作り”である剪定を重要視しています。

室内では栗についてディープなお話をして頂きました!

栗の話もしつつたまにそれて宇宙の話になることも…
深すぎるお話についていくのに必死です!(笑)

場所を移動しまして、だいぶ激しくなった雨音を聞きながらより詳しく、伊藤さんのことや栗について等ディープなお話をしていただきました。

しまんと地栗の実はとても大きいですね(四万十ドラマの過去の計測値では、最大1粒73gがありましたが、計測できてないだけでもっと大きい。全国平均はだいたい20g前後と言われています)。

左が73g。右が全国平均の20g。


しかしここで思い出してほしいのですが、栗って全部があんなに大きいものでしたでしょうか?
そうです!本来、自然に自生している栗はあれほど大きくならなくても良いんだそうです。
「栗の木」からすれば次の木につなげるための種なので、リスに運んでもらえる大きさで良いのです。あんなに大きいと運べませんよね…(笑)

それを大きくしたいのは人間です。おいしく食べるためですね!
育てた結果大きくなるような方法を模索して、今の栗の剪定技術につながったそうです!

「きちんと園地を剪定し管理をすると、いい栗が取れ、しかも栗の木自体が元気になるので無農薬でも虫がつきにくいんです。」


仮に生産者が増えたとしても、きちんと園地を管理しないとなかなか生産量が伸びにくいのです。また、栗は生産力に非常に差がある作物だそう。
その事例として、以前伊藤さんが京都へ公演にいったときのお話を伺うことができました。

京丹波の栗は以前だと1500トンほど取れていた、かなりの生産地でありました。
ところが、伊藤さんが公演へ行ったときにその時の生産量を伺ったところ、ほんの数年で生産量が50トンに落ちてしまっていたそう。この期間はたったの【数年】でした。
「 それくらい生産力に差があるのが栗です。だから怖いんです。」

「何もしなくてもある程度栗は生りますし、取れるけど各年です。ただそれが限界点を超えると生産量がポトッと落ちてしまう。なぜか?栗自体が実を小さくさせてしまうんです。そして小さくなったとたんに病虫害が入ってしまうのです。」

どういうことか?
栗も基本的には光合成により成長していきます。栗の管理をやらなくなると、木は大きいのに光合成をする葉っぱが小さくなってしまい、十分な光合成ができず木を支えられなくなります。光合成が十分にできなくなると、病気や虫に対する抵抗力が落ちてしまい、これらが付いてしまうそうです。

伊藤さんの剪定は、枝を、そして光合成をする葉を育てるものです。
それは木自体の力を最大限に引き出しています。
無農薬でできているのは木が元気な証拠だそうです。

「木を元気にして、木自体や木の住んでる環境のバランスをとっていくと無農薬が可能となってくるというのがわかった。」
今はそれを農家さんに教えてくれています。

栗ってこんなに手間をかけて育てるものだなんて、今まで知りませんでした!
しかも木の剪定なんて…とても力のいる作業です。これはなかなか大変ですよ。
どの枝を切って、どの枝を残すのか…。長年この剪定にたずさわっていなければ分からないところです。それを根気強く教えてくれる伊藤さんの、静かだけれど”熱い”想いがひしひしと伝わってきます。

栗の成長過程や性質、これまでの日本や世界の栗について、自分の知らない栗のことが沢山お話に出てきました。今まで身近にあり当たり前のように思っていたのですが、私って全然知らなかったんだなと感じ恥じ入るばかりです…。

伊藤さんによる若手農家への剪定講習も実施して頂いています。これはまだ植えてまもない幼木。

栗の現状を知ってほしい!そして、是非貴重なしまんと地栗を味わってほしい!

いろんな人から話には聞いていましたが、伊藤さんから栗の生産量や生産者が減っているという現状を聞くまで自分の危機感がかなり薄かったことに気付きました。栗の商品を扱っているものとして、そして消費者であるあなたにも広く知ってほしい現状だなと感じました。

皆さんは自分の口にする物が、どのくらいの手間と時間がかかっているか考えたことはありますか?そしてそれを体験したことはありますでしょうか?
見て、聞いて、体験することで改めて分かることがあると思います。
今回私は知ることが出来ました。機会があれば今度は実際に体験してみたいと思います!

しまんと地栗を使ったスイーツを扱っています!
まだ食べたことのない方は、是非ご賞味くださいませ!
通販サイト 四万十とおわ村