2月18日。四万十は雪が降り、普段静かな四万十もさらに静かになりました。いつも静かな四万十だと思っていましたが、この日ばかりは、川のせせらぎも、鳥の鳴き声もはるか遠く。普段がいかに賑やかなのか、考えさせられたハナです。
さてさて、そんな四万十の代名詞といえば・・・
そう沈下橋!!
今回は沈下橋にフォーカスを当てていきます!
沈下橋とは
沈下橋(ちんかばし)。橋は低く、欄干もない。行き違いなんてできない橋は、雨が降るとその名の通り、沈下して、川の中へ隠れてしまいます。
沈下橋の呼び名は地域によって沈下橋(ちんかばし、ちんかきょう)、潜水橋、潜没橋、潜流橋、沈み橋、潜り橋、冠水橋、地獄橋など、異なるようです。
四万十では「ちんかばし」なので、そう書かせていただきますね!
ブラタモリでタモリさんがお話されていましたが、沈下橋は大きく頑丈な橋を作ることができなかった時代に作られました。おそらく、当時は材料も技術も限られた中で、生活するために橋が必要だったのではないでしょうか。そこで、台風などで増水した場合は流木などによって壊されないように低く、欄干のない橋にするが、日常生活では十分に利用できる橋を作りました。それが、沈下橋です。
時は経ち、四万十でも大きく、増水しても沈下しない橋を作れる技術が出てきて、これまであった沈下橋も大きい橋へ変更しようという動きが出てきました。
「こんな珍しいものが残っているのに、それを壊すのはもったいない。壊すのは簡単だが、もう一度作ることはとても大変だし、残す価値がたくさんある」という意見と、「大きく安全な橋を使う方が生活も安全になる。沈下橋を日常生活で使っていない人には分からないだろうが、沈下橋は危険だから、なくすべきだ」という意見が対立しました。
そんなこんながあり、一部では大きく、沈下しない橋に切り替わったところがありますが、四万十には今でもたくさんの沈下橋が残っています。
そんなたくさん沈下橋があっても、1つの川にたくさん橋がかかっているだけで、1つの沈下橋を見たら、それで満足よ…
なんて思わないでください!!
四万十川は全長196㎞。四万十川は川幅数mのところから、海みたいなところもあるんですから、その分、沈下橋の長さも、沈下橋がある景色や雰囲気も変わってきます!
四万十川流域に住んでいる私ですが、日常生活の中で全ての沈下橋を見るのはなかなか難しいものです…!
そこで、今回はわざわざ沈下橋を見に行きました!
ただ、距離が距離なので、網羅は難しく…
行けるところまで行ってきました!!
屋形船とのコラボも!?高瀬(たかせ)沈下橋
というわけで、「NHK「ブラタモリ」四万十川特集で話題になった四万十川をご紹介!!」の時に一緒に沈下橋も巡ってきました(笑)
高瀬沈下橋に着いたとき、お客さんを乗せた屋形船が出ていまして、ちょうど沈下橋をくぐるところでした。
この沈下橋の少し上流に「なっとく」という屋形船の船着き場があり、そこから出た屋形船でした。もちろん、お客さんがいないと屋形船も出ないので、たまたまでしたが、珍しい光景を見ることが出来ました。
高瀬沈下橋のこの写真、ちょうど沈下橋の真ん中あたりから撮影したのですが、写真の下側に少し幅が広がっている所がありますよね。そこは対向車が来ているとき、すれ違いができるように作られてた待避所なんです。車だけではなく、私たちのように歩いて渡る人と、車のすれ違いも出来ます。
この沈下橋で写真を撮っていると、後ろからブロロロロ…と音が。
「車やー!!」と思わず叫んでしまい(笑)、そのままこの待避所までダッシュ。車とすれ違ったあとに、この写真を撮りました。
長い沈下橋であれば、このような待避所が作られていますが、ほとんどの沈下橋にそれはなく、両岸に広いスペースが作られ、そこですれ違いができるようになっています。
なので、待避所のないそこそこ長い沈下橋の上で車と遭遇した時は、対岸まで全力ダッシュです(笑)
高瀬沈下橋への行き方ですが、、屋形船を出している「なっとく」さん(〒787-1229 高知県四万十市田出川67-1)から車で2分の場所にあります。四万十市(河口)方面から来られる場合は屋形船の手前に、四万十町(上流)方面から来られる場合は、屋形船の先に高瀬沈下橋はあります。
なっとくと高瀬沈下橋の距離はおよそ1㎞。ほぼ直線上なので、高瀬沈下橋から屋形船が止まっているのが見えます。
ちなみに、この高瀬沈下橋、ブラタモリで紹介されていた沈下橋です。
河原も広い!川も広い!勝間(かつま)沈下橋
高瀬沈下橋から上流に向かっていくと次に見えてくるのが勝間沈下橋です。
勝間沈下橋は、河原が広いので、橋がとても長いように見えます。広い河原があるということは、河原の対岸には水によって削られた渕(写真左奥)があり、川が湾曲しているということ。
小さい渕でも、とても深くなっているので、飛び込むとスリル満点。ですが、大きい渕は川の流れも大きく変化しています。思いもよらない方向に流されたり、河原に戻ってこれなくなったりしますので、渕で遊ぶのはオススメできません。
ただ、橋の上から渕を眺めると、綺麗なグラデーションが見えて、とても素敵です!
只今復旧中。岩間(いわま)沈下橋
岩間沈下橋は、2017年11月11日、突然橋の一部が沈下しました。長い間四万十川の流れに耐えてきた沈下橋は老朽化により「Vの字」に折れ曲がり、復旧するまで近づくことさえできなくなりました。
「台風などの増水にも耐えうる」沈下橋ではありますが、長年の風化と浸食には耐え切れず、崩れてしまったのです。
日常的に利用する人が多かった岩間沈下橋。人が渡っている時に崩れなかったことが不幸中の幸いでした。それでも不便なのは確かで、この岩間沈下橋が早く復旧できることを願う人も少なくないとのこと。
岩間沈下橋を見下ろせる所にコンクリートのベンチが。
なんとこのベンチ、崩れた岩間沈下橋の床板(しょうばん)!
本来の沈下橋と同じように座ってみると、こんな感じ!
座っている本人からはなかなか川と沈下橋は見えません(笑)が、写真はなかなかいい感じ!
ここなら靴を落としてしまってもちゃんと回収できますが、水面のすぐ上にいるというスリル感は沈下橋でないと感じられません!
写真を撮りに行ったときはちょうど菜の花が咲いていて、とても綺麗でした!
ベンチに座って復旧中の沈下橋を見るもよし、目を閉じて風と川の音と鳥の鳴き声に耳を傾けてのんびりするのもよし。
沈下橋を見下ろせる所がある沈下橋はなかなかないので、車に追われることなく沈下橋を眺めることができます!
四万十川最大の中洲!JRとのコラボができるかも!?三島(みしま)沈下橋
三島沈下橋は四万十川にかかる47個の沈下橋の中で、唯一JRの線路とほぼ平行にかかる沈下橋!
タイミングがよければ、JR予土線のホビートレインや、トロッコと一緒に写真を撮ることができます!
ただ、田舎ですので(笑)、1~2時間に1本通る程度。なかなかの運と根性が必要です。
そして、三島は四万十川の中で最も大きいとされる中洲があります。
そこでは、地域の方が畑で野菜を育てたりしています。
春先になると、菜の花が一面に咲いて、とても綺麗です!
十和の中で最初で最後!?茅吹手(かやぶくて)沈下橋
最初で最後。とは。
高知市(下流)方面から来た人にとっては、十和の「最初」の沈下橋。
四万十市(上流)方面から来た人にとっては、十和の「最後」の沈下橋。
なので、「最初で最後の沈下橋」なんです。
また、茅吹手の沈下橋は、本ブログのトップの写真の沈下橋なんです!
取材当時は、茅吹手の沈下橋に行くまでの道路が工事中でしたので、沈下橋の近くまで行くのは断念しました(汗)
新緑の山々に囲まれた茅吹手沈下橋は何度見ても飽きません!
と、ここまで書いてきましたが、長くなりすぎてしまいますので、いったん前半終了とさせていただきます。
後半は四万十町大正地区の沈下橋を中心にご紹介していきますので、こちらもお見逃しなく!!
▽沈下橋巡りの休憩スポットに、しまんと地栗モンブランや四万十紅茶が楽しめるshimantoおちゃくりcaféはいかがでしょうか?